尿漏れ・尿失禁の症状と種類、原因となる病気
人間は物を食べて栄養を吸収し、いらないものを排泄して生きています。毎日何気なくしているおしっこも、体に回っている毒素を腎臓がキャッチして、水分と一緒に体外に排泄するという、大事な営みです。
けれども、何らかの理由で、自分の意志に反しておしっこが漏れてしまうことがあります。それが尿漏れ(尿失禁)です。継続的に尿漏れが起きると、社会生活を送る上で大きな支障となってしまいます。
“尿漏れ”と一言でいっても、その症状は様々です。ここでは、症状別に尿漏れ(尿失禁)の種類をご説明します。
お腹に力が入った時に漏れてしまう
運動をしたり重い物を持とうとしてお腹に力を入れた時、また、咳やくしゃみをした時にチョロッと漏れる症状は、「腹圧性尿失禁」といいます。
女性に多く見られ、尿道を閉める骨盤底筋群が弱くなっているのが主要な原因です。頻度や量が少なければ、投薬や手術などをせず骨盤底筋トレーニングだけで治ることが多くあります。

トイレから出た後で漏れてしまう
いわゆる“おじいちゃんのチョイ漏れ”で、中高年の男性に多く見られます。健康な若い男性でも、運動不足や長時間のデスクワークなどで尿を出すための括約筋が弱くなると尿を出し切れなくなり、排尿後に残った尿がチョロっと漏れてしまいます(排尿後尿滴下)。
軽いうちは尿の出し方を工夫することで漏れなくなることもありますが、前立腺肥大症などの病気が原因の場合は、悪化していきます。

緊張すると漏れてしまう
会社の面接など、緊張した場面で漏らしてしまうのが「心因性尿失禁」です。
緊張のために自律神経が失調し、勝手に膀胱が萎縮するために漏らしてしまいます。漏らさないまでも、何度もトイレに行きたくなる「頻尿」になることもあります。若い人に多く見られます。

急に強い尿意を感じて、トイレに間に合わず漏れてしまう
強い尿意切迫感による「切迫性尿失禁」です。
膀胱が過敏になってしまい、尿があまり溜まっていなくても強い尿意を感じるようになる「過活動膀胱」が主な原因です。昼夜をとわない頻尿になるために、辛い症状です。

途切れずにチョロチョロ漏れる
前立腺肥大症が悪化して非常に尿が出にくくなると、膀胱に溜まった尿が溢れて漏れてきます。「溢流性尿失禁」といわれる尿漏れの症状です。中高年男性に多く見られます。

トイレの準備ができないために漏れる
手足の障害のためにトイレに行くのに時間がかかったり、脊髄損傷で尿意を感じなくなったりという理由で尿漏れになることもあります。運動機能低下による「機能性尿失禁」です。

トイレがどこかわからなくて漏らしてしまう
トイレがどこかわからなくなったり、トイレで下着を降ろせなくなってしまう見当識障害で漏らしてしまうことがあります。認知機能低下による「機能性尿失禁」です。認知症の高齢者に多く見られます。
原因をはっきりさせましょう
尿漏れ・尿失禁には男女別、年代別に様々な症状の種類があることがお分かりになったと思います。
ほとんどの尿漏れの症状は、適切な対策で改善しますが、中には脳神経疾患や、癌などの病気が潜んでいることもあります。あまり重い症状ではないからといって一人で悩まずに、まずは専門医を受診して原因をはっきりさせることが大切です。