大人のおねしょ(夜尿症)の原因 | 睡眠中の尿漏れと病気
先日、ケニアで暮らす日本人を取材するテレビ番組で、20才を過ぎた現地の青年がニコニコしながらおねしょで汚れた布団を干している場面があり、ケニアでは大人のおねしょはよくあることと紹介されていて驚きました。ケニアには「大人がおねしょをするのは恥ずかしい」という意識がないそうです。
膀胱の機能に問題があるのでしょうか?それとも、まさか夜トイレに行くと野生動物に襲われる危険があるからという、日本ではありえない理由が元になっているのではなどと想像してしまいます。
さて、その「大人のおねしょ」ですが、ケニアのようにオープンではないにしろ、実は日本でも多くの方が悩まされています。今回は、大人のおねしょの原因について詳しく解説していきます。
大人のおねしょ(夜尿症)が増えている?
上述した例とは反対に、私たちの社会では、おねしょは子供がするものというイメージがあります。大人になっておねしょをするのは、要介護のお年寄りや障害を持った人たちでもなければ大変に恥ずかしいこととされています。
しかしながら、大人になってからのおねしょ(夜尿症)が、高齢化もあってか近年静かに増えているそうです。
おねしょと夜尿症
おねしょとは、夜眠っている時に無意識に尿漏れをしてしまうことです。睡眠中に膀胱にたまる尿量が、膀胱の容量を超えてしまい、尿が漏れることが原因です。
子供のおねしょは通常3〜5歳頃までにほとんどなくなります。成長するにつれて膀胱の機能も発達し、昼間の1.5〜2倍の尿をためておくことが出来るようになるためです。
学童期になってもおねしょが残る子供は全体の10%ほどと言われています。この時期まで残っているおねしょは、「夜尿症」と呼ばれ、幼児期のおねしょと区別されます。発達問題や病気が隠れている場合があるので、医師に相談するように促されます。
大人のおねしょも、当然「夜尿症」です。
中学生の頃から年に1〜2回のおねしょをしてしまうという方から、熟年になってから始まって週に数回してしまうという方まで、年代や頻度は千差万別です。
一次性夜尿症
少し間隔があくことがあっても、おねしょが生まれた時からずっと続いている状態を一次性夜尿症といいます。大人になってもおねしょが治りきらない人の8割以上が、一次性夜尿症に当てはまります。
一次性夜尿症の原因は、膀胱が小さくて十分な尿量を溜められないという身体的な原因、または、夜になると尿をつくる量を抑制する「抗利尿ホルモン」の分泌が少ないため夜間も昼間と同じくらいの尿が作られてしまうなど、排尿に関わる機能に問題があることがほとんどです。
これらは専門医を受診すれば、生活指導やホルモン剤の投与でかなり改善できるものです。
二次性夜尿症
子供の頃はおねしょがなかったのに、大人になってから突然おねしょが始まってしまうと、かなりショックが大きいですね。このような場合は、二次性夜尿症といわれます。
実は、大人になってから突然のおねしょで一番多いのが、突発的なものです。前後不覚になるまで飲酒してしまい、気がついたら布団がびしょびしょになっていた。睡眠中に尿意を感じたのでトイレに行かなければと思いながらも疲れていて起きられずに、夢の中でトイレに入ってしてしまった。
このようなおねしょは、かなりの人が経験しているようです。前者の飲酒については、そんなになるまで飲まなければ問題ありません。後者は、夜間頻尿が原因かもしれないので、注意が必要です。
ある程度継続性のある二次性夜尿症の原因として一番多いのが、自律神経の乱れです。
ストレスや疲労の蓄積、あるいは夜勤のある仕事に携わっていて生活リズムが狂いがちな場合、自律神経が乱れてしまいます。すると、夜間に尿を少なくする抗利尿ホルモンの分泌が減少し、昼間と同じくらいの尿を作ってしまうため、膀胱が溜めておけずに漏らしてしまうことになります。尿失禁までに至らなくとも、夜間頻尿になって生活に支障が出ることもあります。
また、稀にですが腎臓や膀胱の病気が隠れている場合もありますので、大人になって睡眠時の尿漏れが始まってしまったら、ぜひ専門医を受診して原因をはっきりさせましょう。
適切な対策を
大人のおねしょは病気であって恥ずかしいものではありません。
ぜひ一度泌尿器科を受診して、正しい指導や治療を受けるようにしましょう。