溢流性尿失禁の原因と症状 | 尿が出にくいことによる残尿の尿漏れ

溢流性尿失禁の原因と症状 | 尿が出にくいことによる残尿の尿漏れ

溢流性尿失禁の原因と症状 | 尿が出にくいことによる残尿の尿漏れ

“尿漏れ”というと、尿を流す部分がゆるんで垂れ流しになることと思われがちです。ところが、尿が出にくくなっているのに尿漏れすることがあります。

尿が出にくい状態になると、膀胱に尿が溜まっていきます。膀胱が一杯になると尿がチョロチョロと溢れて出てくるのです。このような症状を溢流性尿失禁(いつりゅうせいにょうしっきん)といいます。

この症状は前立腺肥大症による下部尿路閉塞が原因となることが多いので、男性に多く見られます。他には、子宮癌の手術後、糖尿病、脳血管障害で膀胱が収縮しなくなった場合に見られます。

残尿による溢流性尿失禁の原因と症状

前立腺肥大による溢流性失禁

中高年男性の3割以上が、頻尿や残尿といった前立腺肥大による症状があります。

前立腺肥大症による排尿トラブルは、膀胱への刺激による頻尿から始まります。前立腺は膀胱から出てすぐの尿道の周りを取り巻いているので、前立腺肥大によって膀胱の出口や尿道への刺激が強くなります。

このようにして、夜中に何度もおしっこに起きるというような頻尿が始まります。同時に、会陰部の不快感や圧迫感、尿が出にくいといった症状も現れます。

次に、残尿が発生するようになります。残尿というのは尿が出にくいために、トイレに行っても尿が出きらずに膀胱に尿が溜まっている状態です。この段階では排尿障害が次第に強くなり、いきまないと出ないようになってきます。

前立腺肥大が原因の溢流性尿失禁

さらに尿道が狭くなっていくと、慢性尿閉となります。残尿が多くなり膀胱は尿が充満した状態になり、尿意は感じなくなって尿が少しずつ溢れて漏れてきます(溢流性尿失禁)。

この状態を放置していると、膀胱に溜まっている尿に細菌が繁殖して腎臓に達し、腎不全になることがあります。

前立腺肥大以外の原因による溢流性失禁

1.膀胱の神経障害

糖尿病や脊髄損傷、脳血管障害などによって、膀胱を中心とする神経系が器質的に傷害されると、膀胱が収縮しなくなる神経因性膀胱となります。

膀胱が収縮しないので、溜まった尿が溢れて漏れるようになります。
糖尿病では知覚が麻痺するために、尿意を感じないまま膀胱がふくらんで、1000mlも溜まることがあります。

2.薬剤が原因のもの

排尿障害につながる薬剤は、膀胱利尿筋を弱める働きをする薬として、副交感神経遮断薬、βアドレナリン刺激薬、平滑筋抑制薬があり、膀胱出口の圧を高める薬として、αアドレナリン刺激薬、βアドレナリン遮断薬があげられます。

代表的なものは、頻尿尿失禁治療薬、過活動膀胱治療薬、抗精神病薬、抗うつ剤などです。

3.女性の溢流性失禁

女性の場合は尿が出やすい体の構造なので、男性に較べて溢流性尿失禁患者は大変少数です。
例えば、大きな子宮筋腫で膀胱出口が圧迫され尿閉になった場合、子宮癌の手術の後で一時的に膀胱が収縮しなくなる場合などにみられます。

尿が出にくいことによる女性の溢流性尿失禁

溢流性尿失禁への対応

溢流性尿失禁は尿失禁全体の1%に過ぎませんが、放置すると尿閉や腎不全につながる怖い状態です。

また、膀胱は一杯の状態なので尿漏れが止まることがありません。常に不快感を感じ、周囲への臭いを心配しなければならず、日常生活に支障をきたします。

さすがにこの状態になると大抵の人が泌尿器科を受診するようになりますが、単に加齢のための失禁だろうと考えていたために、前立腺肥大症が悪化していることを知って驚くようです。

溢流性尿失禁に対しては、間欠自己導尿法が最も適しています。間欠自己導尿法とは、自分でカテーテルを用いて時間を決めて導尿することです。これで、取り敢えず症状は改善し、外出も容易になります。

「高齢になっての排尿トラブルは仕方ない」と諦めず、ここまで症状が悪化する前にしっかりと対策をとることをお勧めします。