腹圧性尿失禁の原因と症状 | 女性に多い咳やくしゃみによる尿漏れ

腹圧性尿失禁の原因と症状 | 女性に多い咳やくしゃみによる尿漏れ

腹圧性尿失禁の原因と症状 | 女性に多い咳やくしゃみによる尿漏れ

Tさん(54才・女性)は、28才で長女を出産。何の問題もない安産でした。けれども、30才で長男を出産した時は、妊娠7ヶ月目くらいから尿漏れが始まりました。出産後2〜3日はほとんど全失禁状態だったといいます。

それでも1ヶ月後には尿パッドがあれば問題ないくらいに回復し、その後は年に2〜3回、咳やくしゃみをした時に漏れる程度でした。


ところが、50才を過ぎた頃から尿漏れの回数が多くなってきました。咳やくしゃみでの尿漏れに加えて、下り坂を歩いたり階段を下りたりする時も尿漏れをするようになりました。また、1日10回以上の頻尿となり、尿意があると我慢できずに漏らしてしまうことも出てきました。

54才の今は、1日2回以上尿漏れするようになり、尿漏れパッドが手放せなくなったそうです。


このように、咳やくしゃみ、坂道や階段を下る、あるいは重い物を持ち上げるなど、お腹に力が入った時に尿が漏れてしまう症状を、腹圧性尿失禁(ふくあつせいにょうしっきん)といいます。

お腹に力が入った時の腹圧性尿失禁の原因と症状

女性のライフサイクルと腹圧性尿失禁

腹圧性尿失禁は、圧倒的に男性よりも女性に多く見られる症状です。

女性は男性に較べて尿道が短く、まっすぐ下を向いています。その短い尿道を閉めて排尿をコントロールしているのが骨盤底筋という筋肉です。その骨盤底筋が弱くなって尿道を閉める力が弱まると、咳やくしゃみなど、お腹にちょっとした圧力がかかることで腹圧性尿失禁が起こるのです。

女性の場合、どの年齢層でも腹圧性尿失禁が他の原因の尿漏れよりも割合が高いのは、そのためです。

さらに女性は、妊娠・出産をすることで骨盤底筋に大変な負荷がかかります。
妊娠中期以降は、大きくなった子宮が膀胱を圧迫し、出産に備えて骨盤底周りの関節や筋肉がゆるむことから非常に尿漏れしやすい状態となり、尿漏れに悩む妊婦はかなりの数にのぼります。

大抵は出産後に子宮が収縮すると元に戻りますが、なかには骨盤底筋群や靱帯に損傷が残り、なかなか尿漏れが収まらないこともあります。

腹圧性尿失禁の原因と症状

また、更年期になると老化や肥満、女性ホルモンの減少などの原因で、再び骨盤底筋が衰えてきます。すると、潜んでいた妊娠・出産でのダメージも表に出てきて、若い時よりも尿漏れが起こりやすくなります。

そうしたことから、中高年になると、健康な女性でも何らかの腹圧性失禁を経験することが増えてます。前述のTさんの尿漏れは、典型的に女性特有の経過を辿っているといえるでしょう。

男性の腹圧性尿失禁

男性は尿道が長く、途中で2カ所ほど曲がっているために、女性と較べて尿が出にくいという特徴があります。そのため、ちょっとした腹圧がかかっても尿が漏れる腹圧性尿失禁になる可能性は低くなります。

それでも、肥満や運動不足による骨盤底筋や括約筋の劣化や、膀胱底にある末梢神経の異常などがあると、腹圧性尿失禁の症状が現れることがあります。

しっかりと対策を

前述のTさんは、尿漏れの量が多くなり、尿漏れパッドだけでは対応しきれなくなりそうになって、ようやく泌尿器科を受診しました。

診察の結果、尿道が少したるんでいる尿道瘤という状態で、腹圧のかかる動作をすると、さらに尿道のたるみが酷くなる尿道過可動という状態でした。咳をすると、尿道から大量の尿が漏れるようになっていました。

診断結果は、重症の腹圧性尿失禁でしたので、尿失禁手術を受けることにしました。手術は30分で、日帰りで済みました。

その後、尿失禁は年に1度程度、あっても少量で済みようになり、Tさんは積極的に外出を楽しんでいるそうです。

腹圧性尿失禁のほとんどが、適切な治療を受けることで治ります。尿失禁が続くようになったら、早めに泌尿器科を受診して原因をはっきりさせて、対策をとるようにしましょう。